
原作というより伝記そのもの
本の帯に同名タイトル映画の原作とうたっているが、映画はタイトル通り「シャネルになる前のココ」に焦点を当てているのに対し、こちらは生まれる以前の家系の話から死ぬまで、まさに一生を描いた伝記と言っていい。その分ただでさえボリュームが大きくなるのに加え、作品中でも語られているようにシャネル自身がなかなか本当のことを話さなかったということもあり、作者はその裏づけのためにかなり綿密に調査をしている。その調べたことを詳しく書き込んだために話が微に入り細に入りすぎた感がある。もう少しストーリーとして整理すれば1巻でまとめられたのではないかと思う。
しかし、逆に言えばシャネルについて周辺の人々の背景まで踏み込んで知りたいという人にはうってつけの本といえる。読む際には自分がシャネルに対し、どの辺まで深く知りたいと思っているのか自問しながら、覚悟して読んだほうがいいかもしれない。映画の原作という認識では満腹感が先行してしまうかもしれない。
PR